実績|収益性とユーザー体験を両立したアプリ内広告最適化施策

1. 案件概要

日々の気分やストレスレベルを記録・可視化できる**メンタルケア支援アプリ(Android/iOS対応)**において、アプリ内広告による収益が頭打ちになっているとのご相談をいただきました。

アプリ自体は高評価で、月間アクティブユーザー数は約18万人、滞在時間も1セッション平均7分超と優れた利用状況でしたが、以下のような課題が顕在化していました。

  • バナー中心の広告構成で、1セッションあたりの収益が低く単価が伸びない
  • 動画リワードやインタースティシャル広告はほぼ未導入で、ユーザー体験とのバランスが不安
  • 収益の曜日ごとのばらつきや、表示率の不安定さが運営判断の障壁に

2. 運用構成と使用ネットワーク

今回は、Google系広告SDKをベースにした主要ネットワークに加えて、相性の良い外部パートナーの動画ネットワークを組み合わせたハイブリッド運用を設計しました。

  • Google系ネットワーク(動画・ネイティブ・インタースティシャル)
  • ライフスタイル系特化の動画ネットワーク(リワード形式中心)
  • 静止画と動画を自動切り替え可能なテンプレート型フォーマットの導入

すべての広告表示において、「ユーザーに選択肢を与える設計(報酬型 or パス)」を重視し、**“押しつけず、自然に使ってもらえる広告”**をテーマに設計しました。


3. 担当スコープ

  • 広告導線/プレースメント設計の見直し
    • アプリ初回起動時の広告表示は排除、行動ログ記録後やセッション終了時に限定表示
    • 動画リワードは「毎日のストレスレポートをPDF出力可能」など、有益な機能解放型に設計
  • 収益最大化のための配信ルール構築
    • ネットワーク別の収益性を週次で検証し、表示頻度・優先順位を自動調整
    • 一部クリエイティブのABテスト(アイコン型 vs タイル型表示)
  • トラッキングと継続率への影響検証
    • Firebaseベースのイベントトラッキングを使い、広告表示による離脱率/継続率の変動を可視化
    • 「広告を見た人の方が継続率が高い」タイミングを検出し、配信の強弱を戦略的に調整

4. 数値実績(30日間)

指標導入前(1ヶ月)導入後(1ヶ月)
広告収益(トータル)約470,000円約714,000円
平均収益単価(1000回表示あたり)約42.8円約69.1円
動画リワード視聴完了率84.3%
ユーザーあたり収益(ARPU)約8.5円12.3円
セッションあたり広告表示回数1.4回1.7回(自然増)
7日後継続率43.5%44.7%

5. 成果と考察

元々の懸念であった「広告を増やすと離脱が増えるのでは」という課題に対しては、“報酬型広告を必要な人にだけ見せる” という設計でしっかりと対処しました。特に、動画広告に対して報酬機能を組み込んだことで視聴率が高くなり、広告体験の満足度も向上。ユーザーからも「押しつけ感がない」「機能解放と引き換えなら納得できる」といったポジティブな反応がありました。

また、複数ネットワークの収益特性を比較しながら表示順位を自動調整することで、曜日や時間帯による収益のムラが減少。1日あたりの収益予測の精度も上がり、運営側のKPI計画にも貢献しました。


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